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2006年07月11日
山口昌伴さん
前日に引き続き、GK道具学研究所長・道具学会理事の山口昌伴さんのお話の続き。
戦後、アメリカ文化の影響を強く受けて、システムキッチンというものが広く日本にも普及した。
キッチンは、冬とそれ以外の季節(冬の準備をする)の二つのシーズンに対応した設計なんだそうです。
その日、その都度の調理を簡単に、能率良く行うために、専用の道具も含めて、システマチックに設計された配列のキッチン。
それに対して、日本の台所は、四季(三ヶ月毎)に応じて変わる多種多様な食材を、手間ひまをかけて、それぞれの食材に応じた調理をする場所で、洗い場も下処理と、食事後の食器洗いとは別に用意されていた。
農家の台所、あるいは寺社の台所が良い例です。一見、雑然とした広い台所。
台所の横には、漬物小屋があって、その先は畑に繋がっている。
畑で取れた、土の付いた野菜を洗う場所があり、それを広げて調理する大きな台がある。
(台所の由来だそうです。)、
食材に応じた下処理(乾物を水で戻す。灰汁を取るために水で晒す。煮こぼす。荒熱をとって冷ます。等々・・・)をしてから、最後にようやく一つの椀に盛り付けする。
始末をすると、ゴミも少量で済む暮らしでした。
味噌なども、作るには男手も必要で、1日仕事。
しかし、出来上がれば、1年~2年は食べられるという、長いスパンでの効率の良い暮らしぶりが台所にはあったと言っています。
(プロのキッチンならいざ知らず、今の家庭で、そのような洗い場を求めるのは無理があるけれど)
台所が畑や市場に繋がっていた、その季節の素材が乾物と一緒になって、調理方法が自然と決まり、素材の持つ本来の味や、香りを活かすという日本の食体系が出来上がったというお話には納得がいきます。
台所がキッチンになってから、自然と四季に応じた暮らしという日本的なライフスタイルが変わり、日本の伝統的な食体系がぐらぐらしだしたという元建築設計家らしい解説でした。
これは両方(私達、住まいする側からの要求でもあった)でしょうね。
食育からはじまった考察でしたが、まさか住宅建築(台所の設計に)まで関係してくるなんて思いもしませんでしたが、山口昌伴さんのお話で、蒙を啓かれた思いでおります。
西洋のキッチンの思想も取り込んだ上で、本当に健康的な暮らしをするための台所って、いまよりももっと広くないと実現できないのですねえ・・・
確かに家の台所も二人並んで仕事はできないわねえ・・・・だからお手伝いしないのか・・・・
投稿者 hishihogura : 2006年07月11日 14:48
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