4.能登の人だけが知っていた野菜をおいしく食べる知恵

2019年12月25日

突然ですが、野菜、食べてますか?
「野菜は健康に良い」「ビタミン類やミネラルも、抗酸化作用もあるし、食物繊維も豊富」「だからもっと食べなくちゃ」
 
・・・知ってはいても、できるかどうかは別問題。
 
私自身、一人暮らしのときはまさにそうでした(苦笑)

外食やラーメンが中心で、「分かってはいるけど・・・」というのが現実ではないでしょうか。実際に、30年前といまを比べると、日本人が野菜を食べる量は年間20%も減っています。

野菜を手軽においしく食べるコツを知っておくと、私たちも毎日の料理に野菜を一品増やせるかもしれません。
今回第4回では、能登でどうやって美味しく野菜を食べてきたかをお伝えします。

 

◆ベン漬け 「いしる」で漬けた 野菜の浅漬け(調理時間 10分)

 

漬物はいわば日本のサラダ。野菜を加熱せずかさを減らして、たくさん食べられます。生なので、抗酸化作用のあるフィトケミカルもビタミンも取れます。昔のレシピより減塩しても、いまは冷蔵庫で保存できるので大丈夫。減塩レシピで作っておけば、ヘルシーな常備菜として活用できます。

 

・材料

大根・ナス・キュウリ・ミョウガなどお好みの野菜、いしる、水

 

・つくり方(減塩レシピ)

いしるを水で伸ばして漬け液をつくる(いしる1:水3 ※)

※伝統的なレシピは、いしる1:水1で濃い目に漬け込みます。

大根、ナス、キュウリなどを洗って適当な大きさに切り、

ジップロックに入れて冷蔵庫で1晩漬ければ完成。

早く食べたいときは、袋ごと野菜をもみもみするとすぐ漬かります。

・べん漬けの食べ方

そのままお漬物としてご飯のお供にする以外にも、熱いお湯を注いでお茶漬けに。

炭火で炙って、少し焦げ目をつけて食べる伝統的な方法もあり、香ばしく美味です。

 

 

◆イカと里芋の煮物(いしる風味) (調理時間 20分)

 

こちらも常備菜に最適です。ご飯のおかずにも、お酒のお供にも。

 

・材料

イカ、里芋、いしる、水

 

・つくり方

里芋の皮をむく(洗うとぬめりが出過ぎるので、乾いたまま皮をむく)。

イカは洗って、内臓を取るなど下ごしらえして(鮮魚コーナーでここまで頼んでしまいましょう(断言))、輪切りにしておく。

 

いしると水を1:10に伸ばして作っただし汁を、里芋がひたひたになるまで注ぎ、沸騰するまで中強火で加熱する。沸騰したら、中火にして、落とし蓋をして10分煮る。

里芋がやわらかくなったら、蓋を取ってイカを加えてください。再沸騰してから2分中火で煮て、最後に火をすこし強めて軽く煮詰めます。

イカがなくても、イカの魚醤(いしり)を使うと、美味しいイカの風味が出せます(笑)じゃがいもや大根で作るのも美味しいです。

冬の日本海は、漁に出られないほど波が荒れます。簡単に魚が手に入らない時期でも、魚醤いしるを使った「ベン漬け」や煮物なら、おいしい魚介の風味を味わうことができました。特に山間部の農家さんにとっては、魚の風味は格別のもの。昔はフレッシュな魚が手に入ることが珍しかったので、どれほどこの味を切望して、大切にしてきたのかと想像できます。

魚醤いしるは、不思議と大根や茄子などの野菜と相性が良いのです。「ベン漬け」も煮物も、里山と日本海の味を同時に楽しむことができる、とても優れた昔の知恵です。鮮魚の流通が当たり前になった今でも、大切にしたい食文化だと思います。

 

今回紹介したレシピはつくり置きできるもの。毎日自炊しなければという思いは捨てて、週末に下ごしらえして冷蔵庫にストックしておけば、毎日の食卓に野菜を1品増やすことは案外簡単です。

能登の人だけが知っていた野菜を美味しく食べる知恵を、あなたの生活にも活かしてみませんか。

 

2019年12月

 

執筆協力・山下悠那
金沢学院短期大学・現代教養学科・2
㈱ヤマト醤油味噌 インターン

現在短期大学に所属し、主にビジネススキルや観光について学んでいます。石川県からの委託事業である海外誘客チャレンジ事業に2年連続で取り組んでおり石川県の観光振興の推進を目的に取り組みを行っています。

執筆・文責 山本耕平
㈱ヤマト醤油味噌 に所属し、日々の法人営業とともに発酵食をテーマにワークショップを各地で開催。「発酵食文化を通じてお客様の健康で喜びに満ちた食文化の実現のお役に立つ」を理念に活動中。個人的にはいしるだしで作るキュウリの浅漬けがオススメ。

 
参考文献
野菜の消費をめぐる状況について 農林水産省 (平成25年1月)
https://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/yasai_zyukyu/y_h29_mitosi/pdf/yasai_shohi_jyokyo.pdf
一般社団法人 ファイブ・ア・デイ協会 ファクト集
http://www.5aday.net/fact/p2/index.html
 
外部リンク
ヤマト醤油味噌 魚醤 いしる ページ
https://shop.yamato-soysauce-miso.co.jp/fs/yamato/c/r-ishiru/
糀部レシピ 「いしるだしのみぞれ鍋」
https://www.yamato-soysauce-miso.co.jp/koujibupost/k_r_mizorenabe
 
魚醤いしるコラム 連載まとめ
第1回 和食の絶滅危惧食文化、日本三大魚醤とは?
https://www.yamato-soysauce-miso.co.jp/koujibupost/wasyoku_japan_3daigyosyou
第2回 能登の塩づくりが生み出した魚醤・いしる
https://www.yamato-soysauce-miso.co.jp/koujibupost/noto_shouyu_ishiru
第3回 石川県民なら知っておきたい「いしる鍋」の楽しみ方
https://www.yamato-soysauce-miso.co.jp/koujibupost/ishikawa_ishirunabe
第4回 能登の人だけが知っていた野菜をおいしく食べる知恵
https://www.yamato-soysauce-miso.co.jp/koujibupost/noto_oishiichie
第5回 「いしる」×「グルテンフリー」のススメ
https://www.yamato-soysauce-miso.co.jp/koujibupost/ishiru_glutenfree

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